直接染料(上級編)
直接染料で染めることができる、おもな繊維
綿・麻・レーヨン・テンセル・キュプラ・絹
直接染料の染色に使用するもの
・直接染料
染料の粉をよく溶かしてから使用します。
・硫酸ナトリウム(芒硝:ぼうしょう)
染料を繊維に近づける染色用の塩として使用します。
・Fix(フィックス)剤
「染料を繊維の内部に留めるための助剤」です。
直接染料は「-(マイナス)」の電気を帯びています(アニオンともいいます)。
これに対し、Fix剤は「+(プラス)」の電気を帯びています(カチオンともいいます)。
ようするに「-」を「+」で、とどまらせる処理です。
※ 黒染めの場合は、「含銅(がんどう)Fix剤」を使用することもあります。
・炭酸ナトリウム(ソーダ灰)
緩染剤として黒色染めやムラになる場合に入れます。
直接染料の染色工程
染色 → 水洗い → Fix処理 → 水洗い → 脱水・乾燥
【染色処方】
浴比 1:20
95℃×60分
直接染料 ×% o.w.f.
芒硝 20% o.w.f.
ソーダ灰 2%(黒色染めやムラになる場合に入れます)
1. 40℃の染液によく溶かした「染料」をいれる(ソーダ灰使用時はこの時に入れる)
2. しばらくしたら「布地」をいれる
3. 「布地」をいれてから10分たったら「芒硝」をいれる(ここまで温度は40℃)
4. 徐々に95℃まで昇温する(10分くらいかけて)
5. 布地をよく攪拌しながら60分間染める
直接染料のFix(フィックス)処理
浴比 1:20
60℃×15分
フィックス剤 E-117 5~10 % o.w.f.
直接染料のまとめ
項目 | 説明 |
---|---|
化学的組成 | ジスアゾ・トリスアゾ(スルホン酸ナトリウム) |
結合 | 共役二重結合 + 水素結合 |
性質 | アニオン(コロイド溶液となる) |
アルカリ | 溶解度増加 |
中性塩 | 溶解度減少・染着増大 |
酸を入れると | 沈殿 |
特徴 | 一般に色相不鮮明、日光・水洗・洗濯堅牢度低い |
浴比 | 大きいと染着率低下し、染液を流動さすと染着度が増す。 |
染色濃度と助剤の量
染色濃度 | ~1% | 1~3% | 3~6% |
---|---|---|---|
芒硝 | 5g/ℓ | 10g/ℓ | 15g/ℓ |
ソーダ灰 | 1g/ℓ | 0.5g/ℓ |
ソーダ灰は緩染効果UP(黒染めの場合のみでも可)
芒硝の代わりに塩(NaCl)でも可
界面活性剤の種類と効果
界面活性剤種類 | 陰イオン | 非イオン |
---|---|---|
薄い染液 | 緩染 | 染着促進+緩染 |
濃い染液 | 染着促進 | 染着促進+緩染 |
フィックス剤の種類と効果
Fix剤種類 | 効果 |
---|---|
カチオン | 水洗 UP |
金属塩 | 日光・水洗 UP ・色相 X |
ホルマリン | 水洗・洗濯 UP ・環境 X |
ジアゾ化(顕色剤) | 洗濯・酸・アルカリ UP ・色相・作業性 X |
直接染料の製品例
製品名 | メーカー名 |
---|---|
Sirius Black VSF H/C | Dystar |
Sirius Sp Blue BRR-182 | Dystar |
Sirius Supra Gray CG-LL | Dystar |
Kayarus Supra Grey CGL | 日本化薬 |
Kayarus Supra Yellow GLS | 日本化薬 |
Kayarus Supra Yellow RL | 日本化薬 |
Kayarus Supra Red BWS | 日本化薬 |
Kayarus Supra Scarlet BNL-200 | 日本化薬 |
Kayarus Supra Orange 2GL | 日本化薬 |
Kayarus Supra Brown GTL | 日本化薬 |
Kayarus Cupro Green G | 日本化薬 |
Supra(スプラ) 耐光・湿潤 堅牢度強い
Cupro(キュプロ) Fix効果が優秀
その他にもたくさんメーカーと種類があります。